先に掲載した「犬の幼稚園・保育園開業までの流れ」の中で、開業をする際に最も重要と言える動物取扱業の取得について、詳しく見ていきます。動物取扱業の取得が正しくできなれば店舗があっても開業をすることができません。
ご自身が開業予定のお店はどの動物取扱業を取得しなければいけないのか、どのくらいのタイミングから取得のために動いた方が良いかなどについて紹介します。
第一種動物取扱業とは

動物取扱業者とは、犬の幼稚園・保育園、トリミングサロン、動物病院、動物愛護団体など、動物を取り扱う業務を行う事業者のことを指します。この動物取扱業には、営利目的の第一種と非営利目的の第二種があります。
犬の幼稚園・保育園を開業する場合には、第一種動物取扱業の取得が必須となります。なお、第二種動物取扱業者は、第一種に該当はしないが、動物を取り扱う業務を行う事業者です。具体的には、譲渡や保護のためのシェルターを運営する動物愛護団体、ボランティアでの動物飼育指導者などが含まれます。
第一種動物取扱業の7つの区分
第一種動物取扱業には以下の7つの区分があります。
区分 | 該当する業者の例 |
---|---|
販売 | ペットショップ、ブリーダーなど |
保管 | ペットホテル、トリミングサロン、ペットシッターなど |
貸出し | ペットレンタル業者、動物タレント派遣業者、繁殖用動物の派遣業者など |
訓練 | 犬の幼稚園・保育園、出張トレーナー、警察犬、盲導犬などの訓練施設など |
展示 | 動物園、水族館、犬・猫カフェなど |
競りあっせん | 家畜市場運営事業、ペットの競りを行うイベントや場所を提供する事業など |
譲受飼養 | 老犬・老猫ホーム、動物保護施設(営利目的)など |
犬の幼稚園・保育園で考えた時、訓練以外にも預かりやホテルをする場合は「保管」の取得も必要となることがほとんどです。保健所に確認をしましょう。なお、第一種動物取扱業で対象となる動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類です。
これらの業者には動物の愛護及び管理に関する法律によって、事業開始前に動物取扱業登録が義務付けられており、適切な施設と設備、必要な資格が求められます。
この第一種動物取扱業の登録申請には事業所ごとに常勤かつ専属の動物取扱責任者が店舗に一人、必須となります。
守るべきこと
第一種動物取扱業に登録した事業者は、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示に関する規制が適用されます。具体的には、適切な飼育環境の提供、衛生管理、動物の健康管理が求められます。定期的な監査や動物福祉の基準遵守も必要です。
申請場所
事業所がある所管の都道府県または政令都市指定機関にて申請を行います。東京都の場合は動物愛護相談センターで申請ができます。
第一種動物取扱業者取得の前に必要な動物取扱責任者

第一種動物取扱業者取得の前に、動物取扱責任者の取得または、動物取扱責任者を取得している人材の確保が必須となります。
動物取扱責任者は、各事業所に専属の動物取扱責任者を常勤職員の中から1名以上配置することが義務付けられており、他の事業所との兼務はできません。
動物取扱責任者の役割
動物取扱責任者には自身が勤務する第一種動物取扱業に対し、以下のような主な役割があります。
- 法令遵守の監督:動物の愛護及び管理規定等の違反が行われないよう、動物や施設の管理に関わる者を監督する
- 改善の進言:日常的な動物の取扱、管理方法及び施設の管理に関して不備や不適切事項があった場合、改善を進める
- 知識・技術の伝達:動物取扱責任者研修の受講及びそこで得た知識や技術を事業所の職員全員に伝え、習得させる
- 顧客への説明:顧客に対し、適正な動物の飼養及び保管の方法等に関する重要事項を説明する
- 行政対応:行政指導の際の窓口となる
動物取扱責任者になるための要件
動物取扱責任者になるためには以下のいずれかを満たしている必要があります。
- 獣医師の免許を取得している
- 愛玩動物看護師の免許を取得している
- 指定された資格を取得しており、且つ営もうとする第一種動物取扱業の種別と同一種別で半年以上の実務経験または1年以上の同等の飼養経験がある
- 営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について1年間以上教育する学校法人その他の教育機関を卒業、且つ営もうとする第一種動物取扱業の種別と同一種別で半年以上の実務経験または1年以上の同等の飼養経験がある
要件を満たしているかは所轄の指定機関に事前に確認しましょう。
実務経験を証明する際は、事前に実務経験のあった施設や事業所から実務経験証明書の発行をしてもらう必要があります。
参考:動物取扱責任者になるための要件(東京都動物愛護センターホームページ)
動物取扱責任者研修の受講も必要
第一種動物取扱業の新規登録申請に伴い、新たに動物取扱責任者となる場合は、動物取扱責任者研修を受ける必要があります。新規登録申請の2、3か月前を目安に、所轄の指定機関に申込をしましょう。研修を受ける際は受講料の支払いも発生します。
第一種動物取扱業取得の流れ

第一種動物取扱業の登録までの流れを解説します。
申請場所
事業所がある所管の都道府県または政令都市指定機関にて申請を行います。まずは指定機関に連絡し、自身の状況などを伝え、犬の幼稚園・保育園を開業できる要件を満たしているかを確認しましょう。
申請書の入手
各都道府県の所轄の指定機関にて申請書を入手します。
参考:東京都の第一種動物取扱業申請様式一覧(東京都動物愛護センターホームページ)
申請書の記入
申請書には事業の詳細、取り扱う動物の種類、施設の概要、管理者の資格情報を記載します。また、動物取扱業者の登録手続きについての案内も含まれていることがあります。
必要書類の添付
必要な書類(施設の図面、資格証明書など)を添付し、申請手数料を支払います。
施設の立ち合い検査
書類提出後、担当者による完成した店舗の立ち合い検査が行われ、適正と判断されれば登録が完了し、営業可能となります。
第一種動物取扱業登録までに必要な保健所とのやり取り

開業予定までに営業許可を得るためにも、適切なタイミングで保健所など所轄の機関との連絡や正確な申請や申込が必要になります。主な流れを以下にまとめました。
連絡・申請のタイミング | 確認事項 |
---|---|
不動産探し前(開業を決めた時) | ・第一種動物取扱業登録及び動物取扱責任者要件を満たし開業できるか ・今後必要な対応事項、流れ |
開業予定2~3ヵ月前 | ・動物取扱責任者研修の申し込み、受講 ⇒動物取扱責任者に登録 |
保健所の指示に従う | ・登録新規申請 |
不動産契約時(内装決定前) | ・店舗内配置の確認 ・必要設備の確認 |
保健所の指示に従う | ・施設の立ち合い検査の申し込み ⇒立ち合い検査の実施 ⇒第一種動物取扱業者の登録証が交付される |
営業及び広告活動開始 |
これらの連絡や申請のタイミングはあくまでも目安です。詳細については、実際に保健所とやり取りをし、保健所の指示に従ってください。
第一種動物取扱業がやるべきこと

第一種動物取扱業の訓練に登録し、犬の幼稚園・保育園を営業する場合、主に以下のことを遵守、行う必要があります。それにより動物福祉を確保し、適正な事業運営を行うことが求められます。
- 動物取扱責任者の選任と研修:事業所ごとに常勤かつ専属の動物取扱責任者を選任し、年1回の研修を受講させる
- 守るべき基準の遵守:店舗の構造や規模、維持管理、動物の管理方法などを含む、第一種動物取扱業の遵守事項を守る
- 台帳の記録:飼養施設及び動物の点検状況記録台帳を営業日ごとに記録し5年間保管
- 変更届の提出:登録内容に変更がある場合に提出
- 標識の掲示:事業所内に第一種動物取扱業者標識を掲示
- 立入検査の対応:立入検査に協力し適切に対応をする
広告への掲示も義務
ホームページやインターネット広告、チラシ、パンフレットなど店舗に関する広告には、以下の項目を掲載する必要があります。
- 氏名又は名称
- 事業所の名称及び所在地
- 動物取扱業の種別
- 登録番号
- 登録年月日
- 登録の有効期間の末日
- 動物取扱責任者の氏名
広告やパンフレットに記載する際は、事実とは異なる飼養の容易さや幼齢時の愛らしさ、生態及び習性に反した行動等を過度に強調する等して、動物に関して誤った理解を与えない表現が求められます。
送迎サービスは別途届出が必要

有償で犬(幼稚園生・保育園生)を送迎する場合には、「貨物自動車運送事業」の届出が必要になります。法律上モノとして扱われるペットを運ぶことで対価を得るために発生します。
小型、普通自動車を使う場合は「一般貨物自動車運送事業」に、軽自動車を使用する場合は、「貨物軽自動車運送事業」に該当します。
申請は事業所を管轄する運輸支局への申請が必要となりますが、手続きが煩雑で難しい場合には行政書士など専門家の力を借りた方がスムーズでしょう。
万一、無届で送迎サービスを行った場合には罰金や、懲役が科されます。
法令違反で科せられる罰則

第一種動物取扱業者が遵守すべき主な法律は動物愛護管理法です。違反をした場合には、様々な罰則が科せられます。
罰則と処分
動物の管理や施設が適切な状態になっていないと立ち合い検査などにより認められた場合、まずは各都道府県の知事などから改善の勧告や命令が行われます。勧告や命令を受けた場合には、3ヵ月以内に必要な措置を取らなければいけません。
もし勧告に従わなかった場合、その事実を各都道府県の知事などは公表できるようになります。悪質な業者に対しては登録の取り消しや業務停止命令が行われる場合もあります。
罰則の例としては、無許可での営業、改善命令や業務停止命令に従わない場合100万以下の罰金、登録内容の変更を届け出なかったり、虚偽の報告をした場合は30万以下の罰金などに処せられます。
顧客離れ
行政からの処分はもちろんのこと、それまでに築いてきたお客様との信頼関係や社会的信用なども法令違反により失うこととなります。また、信頼回復にも多くの時間がかかり、これまで通りの営業が難しくなることも考えられます。
まとめ

犬の幼稚園・保育園を開業するには、第一種動物取扱業の登録と動物取扱業の取得が必要であることをおわかりいただけたでしょうか。
状況によっては、第一種動物取扱業の取得と動物取扱責任者の取得は同時並行で進めていく必要があります。事務手続きに加え、店舗の準備など多くの対応事項があり、大変なことも多いでしょう。
不明な点は所轄の機関に確認し、動物愛護管理法に違反したり、不備がないように注意しながら幼稚園生、保育園生たちが安全で快適に過ごせるお店作りを目指しましょう。
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